私たちの日常は、電子回路で溢れています。普段、何気なく使っている携帯電話、パソコンそれらにはたくさんの電子回路が組み込まれ信じられないほど多くの情報処理をしています。

電子回路は、電子の流れる道筋です。ここで「回路」を電子だけでなく、情報の流れる道筋だと考えると、私たちの身体や脳も回路ですし、さらには、思考の流れもひとつの回路といえます。回路は、私たちの外だけではされるのを待っています。

この「感覚回路採集図鑑」展では、ひとりひとりの感覚̶身体̶想像の回路を、電子回路を使って、いつもとは異なる世界に接続することを試みます。

一度、深呼吸。

では、スイッチ・オン!



「感覚回路採集図鑑」 安藤英由樹 // 渡邊淳司

会場:日本科学未来館 
3Fメディアラボ)
期間:
2009107日〜201031

主催:
 日本科学未来館
 (独)科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(
CREST
  「デバイスアートにおける表現系科学技術の創成」 

監修協力:前田太郎
展示企画協力:吉田知史、
66b/cell


展示制作協力:鈴木 隆裕、津田 明憲、長江 依奈 、
野崎 智子、浦西 広幸、久我 尚美、篠木 貴久

自分の眼を動かすと
鮮やかな絵が見えます!

人間の眼は、自分の見たいと思う方向に1 秒間に数回すばやく動いています。その動く時間は約0.05 秒。この回路は、その眼の動きの間に、もっともっと速く1列の光を点滅させます。そうすることで1列の光が網膜の上で面になって、2 次元の絵が見えます。さあ、光の前でキョロキョロ、眼を動かしてみてください。何が見えるかな?

共同制作者:田畑哲稔、前田太郎
技術協力:NTTコミュニケーション科学基礎研究所

 

どこからともなく、音が聞こえます!

人間は耳に入ってくる空気の振動を音として聞くことができます。この回路は、狙った場所に音を届ける回路です。いろいろなところから音がザワザワと聞こえてきます。眼を閉じて、耳を澄まして、どこから音がやってくるか、よく聴いてみよう!

共同制作者:田畑哲稔、Maria Adriana Verdaasdonk

 

つるつるのはずなのに
凸凹を感じます!

人間はものを触るとき、指でなぞる動作をします。そのときに生じる指腹の変形が触っているものの凹凸として感じられます。この回路は、なぞる動作をしているときに爪側から振動を与えます。不思議なことに爪側が震えているのに、指腹にデコボコした感覚を感じます。さあ、指に振動装置をつけて、デコボコを感じてみよう!
共同制作者:草地映介、NOSIGNER

 

世界が揺れている? 
自分が揺れている?

人間は耳の奥にある前庭器官で身体の姿勢、動きを調整しています。そのため眼を閉じていても、バランスを保ってまっすぐ立つことができます。この回路では、その前庭器官にとても弱い電流を流すことでバランス感覚を揺るがします。電流が流れると自分は動く気がないのに、ユラユラ揺れを感じます!

共同制作者:吉田知史、前田太郎

 

自分の影に引っ張られる!

人間は自分がどんな姿勢でいるのか、鏡や影を通して確認することができます。普段自分の姿勢の、身体感覚と目で見た感覚は常に一致していますが、この回路ではそれらの関係を少しだけずらします。そうすると、自分の身体が重く感じたり、思わず引っ張られたりする感覚が生じます。
共同制作者:飯塚博幸、前田太郎

 


文章の説明以外に、漫画での説明、
電子回路のメタファでのイメージを提示。


全体の展示で、移動壁は森のように配置され、
参加者はオリエンテーリングのように、自分の感覚を見つけていく。

 

制作インタビュー

 メディアラボ第5期展示特別対談(with 乙幡啓子さん)